●よく言われる…佐野ラーメンって、普通のラーメンだよね?
こんにちは。
ここんとこがっくりと寒くなってきて、
ここ北関東では紅葉も真っ盛りな今、いかがお過ごしでしょうか?

紅葉見に来て、あったかい佐野ラーメン…なんてのもいいでしょ。足利の鑁阿寺(バンナジ)さんです。
さて、
前回の佐野ラーメンコラム、
「佐野ラーメン、衰退へのプロダクト化?…。」を書きましたが、
そもそも立ち位置が違う…のかな…とも思う。
不穏…なままほおっておくのもなんなので、無い頭で少し考える。
僕が佐野に来た時から、製麺機を使い自家製麺をしていた店舗、
製麺屋さんにお願いして作ってもらっていた店舗、
昔ながらの「青竹打ち」で作った麺を使う店舗…その時点でそれぞれあったと思う。
そんな中「ルーツ」を知る上で「青竹打ち」にこだわり、
佐野市でさえ「青竹打ち」で売り出し全国的に告知をした。
佐野ラーメン=青竹打ち…と。
「ルーツ」売り…をした訳です。
しかし、
このまま行くと、佐野ラーメンは、歴史的な「青竹打ち」は捨て(現在進行中)、
ただラーメン屋が多い市…を目指している…のだろうか、とも…思える。
残念な事だ。
守る事も捨てる事も出来るのに…これじゃ”オープンしているシャッター街”を目指しているのだろうか。

今も残るルーツの一店舗「宝来軒」さんのワンタン麺。
しかし…だ。
ラーメン職人の中には機械打ちの麺を試し
「おお、青竹打ちと遜色ない…今の製麺技術はすごい…」なんて思って製麺屋さんに
お願いしていた店舗もあるでしょう。
この「遜色ない」という判断は、その店舗が行き着いた「答え」。
毎日同じ水準の麺を打つ…のは難しいです…。
僕も麺を打ちますが、一度として同じ水準の麺を打てたことがない。
まあ、家庭…なので毎日は打ったことありませんが、
同じレシピでも違う仕上がりになる。
湿度がどう…とか、
水質がどう…とか、
小麦の水分量とか、
水回しとか寝かせる時間・温度など…多様に変化する。
そう…変化を握るベクトルが多すぎる…のだ。
同じにしても同じものが出来ないジレンマ。
「これを、お客様に提供して自店としてよいものか…」との迷いと
時間的な問題…などで、クオリティーの変わらない麺…を求め、
結果、店として判断したのでしょう。
凄く拘った結果…なのでしょう。
それに、店として運営するにはコストを問題にしなくてはいけない。
1日にどれだけ売れるか…によっても買ったほうがクオリィティーを
守れるかもしれない。

こちらは「田村屋」さんの麺打ち場。青くはないが太い麺打ち用の竹…が誇らしい。
スープにしても、
スープは日持ちがしないため営業日にかけ毎日炊いている…と思います。
そんな中、同じテイストを守り続けるには「化学調味料」はマスト…
だったのかもしれない…それは昔から。
そう、クオリティを守るために、クオリティを落とす。
…行き着く先は、プロダクトラーメン…?
というロジックにハマった…。
何でもかんでも手打ち…が美味いのか?…といったら、
そうではないでしょう?
許すか許さないかは店舗の判断。
青竹打ちの労力と機械打ちの労力、秤にかけたら…。
そしてスープなどとのバランスをみて、店は判断した。
表題にあるように、佐野ラーメン…って普通。
この普通…というのは、普遍的な意味も大いにある…普通。
普通に…旨いのだ。
普通に、毎日食べても飽きない。
そして、プロダクトラーメン…以前に、
佐野ラーメンはすでに毎日作ることを前提として歴史を重ねてきた…
と思わざるを得ない…気がする。
この、毎日食べても飽きない…というのは、かなり難しい…と思う。
香水の世界には「ファーストノート・セカンドノート・ラストノート」という言葉がある。
ラーメンを食べていると、香水…ノート(匂い)ではないがではないが、この 表現が当てはまる。
最初スープを口にすると香り旨味塩味などが飛び込んできて「ああ。旨い!」と感じる。
麺を口に運びもしゃもしゃと…旨いぞ。…となる。
→ファーストテイストね。
しかし、中盤になると舌が慣れてしまって、同じようにスープを飲んでもファーストのようには
感動はないが麺や具材とのコラボレートと喉を通り胃に溜まる満足感…。
→セカンドテイストね。
最後は完食した満足感と残ったスープを口にする達成感と空の丼の香りを楽しむ…。
→ラストテイストね。
例えば…最初旨いんだが、食べ進めるとかなり塩っぱい事に気がつき、その塩味を麺がカバー…
しきれなくて、残念な結果に終わる…等々。
…多少なれ違っても誰でもこのような経過をたどる…と思うが、
この経過と、違う店が…たまにある。
…最初から最後まで、味が全く変わらない…のだ。
最初の感動が…最後まで続くラーメン。もちろん満足感や達成感もプラスされてだ。
これは…すごい。
↓こんなラーメンを初めて味わったのが「トイボックス」の醤油ラーメン。

↓最近では「アメノオト」さん10月限定の「煮干薫る背脂手揉みラーメン」。これも変わらない。

↓もうひとつ、東京門前仲町の「しんば」さんの中華そば…黙る旨さ。

感動が続くから…食べてる最中すでに次が食べたくなる…ラーメン達…だ。
僕が若かったらこんなラーメンを「神ラー」とでも呼ぶんだろうな…。
思うに、ラーメンの要素の中に味をリセットする何か…が一緒に入っている…のか?。
なんだろう、これを簡単に言ってしまうと「酸味・香りのある果汁」をスープに入れると
さっぱりして、今までとは違うコクまで感じるようになる…でしょ?。
そんな感じの、なにかリセットする要素がある…と思う。もちろん後から何も入れずに。
これがあるために、数倍…いや数十倍旨く感じる…これはすごい…各素材のバランスかな。
味の濃い薄い…に関係なくこのような傾向があるラーメンはかなり少ない…。
もしかしたら「毎日食べられるラーメン」とは、こういうラーメンじゃないか…とも思う。
味の劣化が少ないラーメン…。
麺とスープ…がメインで、具材はオカズ程度。
そんなラーメンで、麺とスープの受け持つ割合はかなり大きい。
その大きな要素の「麺」に関し、やはり「青竹打ち」の麺は、旨い。
旨いんだ。
普通…は、普通じゃない。
毎日食べられ、飽きない…理由を考えると、普通ではない…かな。
プロダクトだけど、長い時間の中で人々が手で作ったきたプロダクト。
同じプロダクトだけど、違うプロダクト。
…このような種類のラーメン店が散立する…佐野市。
旨い佐野ラーメン…食べたい?
ありますよ。
お口に合いますよーに。
2018年10月25日・記


