●今年の帰郷は、我味の確認へ…
生まれ育った場所…
そして生まれ育った場所で子供を育て…
そして、
その場所を離れると、
故郷…というものが客観的に見えて面白いことがある…。
…このお盆で帰郷し、
そんな思いを持たれた方も多いかと思います。

そして食生活…も、
この地域で育ったんだな…と思うことも多い。
素材として、野菜にしても魚にしても、なんだか旨いんだ。
…というか「口に合う」。
飲食店など、全くそのものだ…。
まあ、この地域の食べ物で生きてきたのだから、当たり前か。
しかし、しかしだ。
多くの飲食店は、人口の減少に伴って無くなってしまった…。
駅前や、いわゆる目抜き通り…なんて、
シャッター通りを通り越して、空き地と駐車場で見る影が全くない。
そんな中、
頑張って今でも繁盛していて今でも楽しみにしている店が何店かある。
1店舗は、パン屋さん。
有名な新宿中村屋とルーツが同じのパン屋さん。
ここは当時避暑地で有名な場所。
そこで美味しいパンを避暑客に届けようと分店…それがここ。
僕が高校生の頃は学校の売店にここのパンが売っていた…くらいスタンダード。
そして老舗として非常に頑固。だから残ったのだろうけど。
メニューに「たまごドーナツ」なるものがある。
見た目はあんドーナツが大きくなったような感じ…砂糖がまぶしてある。
中を開けるとびっくり!たまごが1個入ってる!
…砂糖をまぶしたパンとたまご……。
これって砂糖がまだ珍しく、たまごも貴重品の頃の食べ物???
僕が子供の頃びっくりした覚えがあるのに…今だにまだある。
…これって、もしや大正8年の開業時からある?
頑固でしょ?
でもね、以前奥様をびっくりさせようと何も言わずに食べてもらったら…
びっくりするどころか、美味い…って。
…なるほど、ファンがいるからメニューからなくならないのね…。
ぶどうパンはあんぱんのあんの所が全部干しぶどう…だったり、
ピーナツクリームサンドのピーナツクリームは膨大な量が挟まっていたり。
…そんな、独自なメニューも多い。
ケーキドーナツ…なんて絶品だぜ。なにしろ、パンそのものが旨い。
そして、二階のパーラーもいい。
中でも「チキンバスケット」。
店で食べるのもいいが、テイクアウトが好き。
ロゴ入り箱の中に、サラダ・バターロール・チキン・バター・マヨネーズ等々が詰まっていて、
これで完全に満足できる。完全にだ。
サラダなんて付け合わせじゃないよ、まんま店で出るものが詰まってる。

…言葉にしがたい旨さなのがこの鳥の唐揚げ…。ジューシーでサクッと…。
肉汁ブワ〜っと流れ出る唐揚げは、なんなんだ。今でもこれを超えるものはない。
そしてバターロールの旨いこと旨いこと…香りにやられます。
数十回この唐揚げの味を再現しようと試みたが…全敗。なんなんだ、これは。
おまけに…冷えても旨い…やばいんだよ、これ。このセット。
…ふう。
そして、もう一つがちょっと離れた港街にある街中華。
それも有名な港町の繁華街から車で15分も走らないと行けない郊外で、
知らないと絶対に行かない、
地元の方々をターゲットにしているお店。
初めて行ったのが、僕が高校生の頃。
兄が写真を撮っていたフリーペーパー(昔はタウン誌…なんて言っていた)の
取材で兄が旨さと量に感心して連れてきてもらった店。
その名も「スタミナラーメン」…。

もちろん市内には「くるまやラーメン」や「札幌ラーメン」のチェーン店もあり
そのあたりの味ももちろん知っていた。
…たぶん、この店が僕のラーメン好きのルーツ…だと思う。

このスタミナラーメン、特徴は「麺」。
最初は「なんだよ、カップヌードルの麺使ってるのかよ!」と思ったほど。
見た目は、初代カップヌードルの麺、見た目そのまま…。
だが、食べると全く別物。
細〜い平打ち麺で、かなり縮れている。つるっとはしておらずパツッと。
しかしだ…パツッとしているが軽い…すごく軽い。
麺の旨さを例えると、替え玉のハリガネをスープに入れ噛んだ…旨さ?
そう、粉旨いんだ。
でも…麺がスープを吸うと…これがまた旨い。

スープは鶏ガラのすっきりしたスープをちょっと甘めの中華風にし、
かなり多めのニンニクが入っている。
でもって、持ち運べないほどたっぷり注いでくる…。
具材はキャベツ・玉葱・ニラ・ニンジン・きくらげ、そして豚バラ。
野菜だけでも腹一杯って感じ…。食べても食べても麺が見えない…。
いい加減野菜を食べて、下の麺を引っ張り出す。
たぶん麺もかなりの量がある…食べても減らない…。
若い頃は気合を入れて、今日はスープ完飲してやる…と意気込むも、完敗。
そんな…ラーメンです。
結婚し、子供ができ、三人目が生まれ…そんな折々に、通ったラーメン屋。
僕の両親、僕の家族、兄弟何人か…と行くと、8〜10人になり、
貸切状態で通ったり、
子供が大騒ぎし暴れてじいちゃんがヤクルトくれたり…、
なんだか私たち一家の歴史もこの店には、ある。
麺が旨いので、普通のラーメンはもちろん、
チャーシューがまた旨いのでチャーシュー麺、
そしてチャーハンもこれまた旨い。
冷やし中華も旨し。
子供たちは大きくなるとラーメン+チャーハン…などダブル注文も当たり前。
今はたま〜…にしか行けなく(片道250kmはある…)、タイミングが悪く
息子たちは行けないと「いいな〜…」と嘆く…わかるよ、旨いもんな。
代わりに父ちゃん食ってきたから安心しろ。
行った時も、地元の方(40代位で年寄りじゃない)がチャーハン大盛りの
テイクアウトを6人前!取りに来ていたけど、やっぱり旨いよね、チャーハン。
…なんだ、テイクアウト出来るの???…知らなかったじゃん。おばちゃん。
「口に合う」って、あるよね。
もしかしたら、こんな基本的な味の体験を、知らず知らずに比較するベース…
として使っているのかも…。
船の錨、アンカーのように打ち込まれ、そこから引きずられないように
自分の位置を守る…自分の味を守り…そこから味を比較…するのでしょうか。
い〜〜〜〜っちばん下の、意識下にある味・食の基本があるからこそ、
旨さの比較が出来る…のでしょう。
そんな、味ベースの旅になった帰郷…でした。
…しかし、うまかったなぁ…。
そして頑張って営業していてくれて、
本当に、ありがとう。
また、必ず行きます。
そして、食べてくださるよう…心から思います。
お口に合いますよーに。

2018年8月23日・記


